「スプレッドシート統制ソフトウェア製品リスト」の国産製品が充実!!
国内外の製品化動向は「外低内高」
「スプレッドシート統制ソフトウェア製品リスト」を改訂しました。海外製品に動きが少なく、国産製品が一挙に4点増えている点が、今回の更新に於ける特徴です。
欧米では、米SOX法404条対応が落ち着きつつあるのに加えて、金融危機に端を発した不況に見舞われています。なかなか、新製品を開発したり、ベンチャー企業を起こしたりできない状況です。
これに対して、日本国内では、同様の不況の只中に在りながら、金商法による内部統制報告の初年度対策から、どう継続的に運用するかに関心が移ろうとしている時期です。
この様な背景の違いが、スプレッドシート統制ソフトウェアの製品化動向に反映されているのだと思われます。
ユーザ企業が抱える問題を先取り
何故、国内では、スプレッドシート統制ソフトウェアの製品化が相次いだのでしょうか? 「スプレッドシート統制 研究室」の管理人(以下、管理人という)は、スプレッドシート利用の特徴と、統制及び統制評価の継続に対する不安が、相次ぐ製品化の根底に在ると考えています。
少なからぬExcelスプレッドシートは、ユーザのニーズに対する即応性を求めるエンドユーザコンピューティング(EUC)形態で利用されています。
ニーズへの即応を求められるが故に、Excelスプレッドシートは、変更され易い、或いは、派生し易いと言えます。しかも、変更や派生を把握する事が困難な場合も少なくありません。
そのExcelスプレッドシートを利用する業務を統制しようとすれば、ユーザ企業は、以下の様な問題に直面すると予想されます。
- スプレッドシートの棚卸を一度終えても、いつ在庫状況が変わっているか分からない。
- 一度整備した統制が、維持されているのか分からない。
- スプレッドシートの変更や派生に対して、一度整備した統制を追随させるには、大変な手間が掛かる。
- スプレッドシートの開発や保守に伴い必要となる統制手続きの定着も心許無い。
- 頻度の増している組織変更や人事異動の後にも、統制が維持できるのか心配だ。
監査人は、定型化されていない業務や、情報システムの確立されていない業務に注目する傾向があります。そんな業務でこそ、Excelスプレッドシートが重要な役割を果たしている事が多いものです。そこに、この様な不安が有るのでは、不安に成ります。
ユーザ企業のこの不安を見て取った業者が、これを新たな事業機会と捉えて、ITソリューションを製品化した。それがリストに表れたのだと考えられます。
国内特有の発展に期待
優れたITソリューションは、統制手続きを自動化するだけではなく、スプレッドシートの変更や派生程度では揺らぐ事の無い統制の枠組みを提供してくれます。管理人は、海外のスプレッドシート統制ソフトウェア製品に、実に多くを教えられました。
どんなソフトウェアでも、発売されてから、実運用の中で磨かれて、初めて完成度の高い製品に育って行くものです。海外製品の一部に、完成度の高い製品が有るのは、「スプレッドシート統制の発展経緯・現状」シリーズの記事で紹介した歴史が有るからです。
一方、国産のスプレッドシート統制ソフトウェア製品は、高い完成度を誇る段階に至っている訳ではありません。先進ユーザ企業の声を聞き、試行錯誤を続けている段階に在る製品が多い様子です。
しかし、管理人は、国産製品が、海外製品の単なる模倣ではない点に注目しています。例えば、国産製品には、海外製品には見られない機能セットや、程良い統制簡略化を見出す事ができます。これらは、開発元各社が、「ユーザ企業の声を聞き」(ユーザ企業とのコラボレーション!!)、独自の要求分析に基づいて、製品コンセプトを模索した結果だと思われます。
一定以上の導入実績を積めば、これらの国産製品にユーザ企業の知恵が集積されて行く筈です。そうなれば、その中の幾つかは、国内事情に適応した合理的な機能や統制の枠組みを提供する製品に育つと期待できます。既に、発売当初から機能強化されている製品も現れています。顧客志向と改善は、日本のお家芸です。
また、管理人は、スプレッドシート統制は、法令順守以外の目的に対する有効な方策と成る機会があると考えています。この点についても、ユーザ企業とのコラボレーションの中で具体化されて行く可能性が有ると期待しています。期待し過ぎでしょうか?
製品完成の鍵はユーザ企業の手中に?
多くのソフトウェア製品は、特定ユーザ企業に於ける要求に対する開発成果物を元にして製品化され、改善されて行きます。未成熟な製品は、ユーザ企業の要求が未成熟である事を反映しているのかも知れません。
ユーザ企業も、自社のスプレッドシート統制戦略を明確にして、何をITソリューションに求めるのか、開発元に要望をぶつけて行くべきです。そうすれば、開発元との議論の中で統制戦略が洗練され、同時に、実現手段が具体化する筈です。
製品が発展途上であるとしても、ユーザ企業が上記の問題に直面するのであれば、製品の導入効果を評価する価値が有ります。、「人手で本当に十分に統制できるか?」、「人手では却ってコストが掛かる事にならないか?」、「過剰統制とならない方策は無いか?」等、今後、継続的に統制を運用する上で、ユーザ企業が自問すべき時期に差し掛かっているのではないでしょうか?
【後記】
●前回の更新の際に消息不明となっていた米Compassoft社は、英Finsbury Solutions社に買収され、製品の開発及びサポートが継続される事になりました。
●今回リストに加えた製品以外にも、スプレッドシート統制に有効な製品を開発中だと管理人にお知らせ頂いている会社が幾つか在ります。次回のリスト更新が今から楽しみです。
* * * 以 上 * * *
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